コラム
  • バトンソングス コラム03
    森山良子
    ミュージシャン
    森山良子
    バトンソング『さとうきび畑』
    2019.06.11
    寺島尚彦氏作詞作曲による『さとうきび畑』をレコーディングしたのは1969年の事、私が歌手としてレコードデビューしてから2年後のことでした。 ご近所にお住まいだった作者自身が「この曲を是非歌って下さい。」と譜面を届けてくださいました。それまで何度かお仕事をご一緒し、時々ご近所同士、すれ違いご挨拶する間柄でした。お預かりした譜面を広げて歌詞をたどりながら、私は愕然とした気持ちになりました。戦争を知らずぬくぬくと育った20歳の私の想像の範囲を何倍も大きく超える世界が広がっていました。そしてすぐに受け止めきれず私自身の未熟さを痛感しました。しかし寺島尚彦さんが私に譜面を手渡してくださった時の、何かひたむきな熱意のようなものは私の中に残っていました。 当時レコーディング中で、フィリップスレコードの本城ディレクターに、この曲を是非にと頂いたのだけれど私にはとても歌えそうにない、と譜面をお見...
  • バトンソングス コラム02
    黒木 知宏 (ジョニー黒木)
    元プロ野球選手・投手コーチ/野球解説者
    黒木 知宏 (ジョニー黒木)
    誇りや愛するものの為に闘う人たちへ、これを贈る!
    2019.05.31
    僕は、野球というスポーツの世界で生きてきました。 子供のころから野球を始め、少年野球時代、甲子園に出場した時、社会人野球時代、そして千葉ロッテマリーンズでプロ野球選手としての道を歩み始めて以降、 その時々で色々と想い出のある曲、思い出す曲はいくつかあります。 しかし、このコラムの依頼を聞いた時に自分の頭に真っ先に思い浮かんだのが、「美しき狼たち」という曲。 この歌は再放送された「あしたのジョー」の主題歌です。 子供の時に口ずさんでいたこの歌を再び唄ったのは、2000年のシドニー五輪の準決勝の前夜でした。 強豪“キューバ”との準決勝を控えての決起大会で、チーム全員で誓ったことは「逃げない」ということ 。 どんなに強い相手でも逃げずに立ち向かっていこうとの話になりました。 その時に、当時コーチだった林裕幸さんが突然こう言ったのです。 「今か...
  • バトンソングス コラム01
    近田 春夫
    ミュージシャン/ 音楽プロデューサー
    近田 春夫
    100年後の子供に贈る歌
    2019.02.11
    こうした場合には一体どういった歌が相応しいのか? 100年後の子供達に聴いてもらいたい、聴かせたいということなれば、先ずはその歌を何故選んだのか、動機というか理由付けが第三者的に見てもちゃんと納得のいくものでなければ、これは始まらない話のような気がした。単に自分がその歌を好きだから、というのだけでは、企画の趣旨(目的)には応えていないのではないか、と思ったのだ。 そこで私はこう考えた。なるべくなら今の時代の傾向を反映しているような音源が望ましい。というのも、この企画の発案された頃の音とはこのような感じであったと、100年後に検証出来る/し易いようなものの方が、子供たちだって資料的に有難いに決まっているだろうと思うからで、すなわち大前提は「タイムカプセル」なのだという認識/自覚を持てているか……? そうした前段を踏まえ、私は選曲のジャンルを、J-POPだけにしぼりその中での"この一曲"...